1944年11月9日、英国のロック・バンド、ザ・プリティ・シングスのボーカリスト、フィル・メイがケント州ダートフォードで生まれた。
フィル・メイは、1963年にギタリストのディック・テイラーとともにザ・プリティ・シングスを結成した。テイラーはローリング・ストーンズの初期メンバーとして活動した人物で、同バンドを離れた後、メイと新しいグループを立ち上げた。
ザ・プリティ・シングスは、1960年代の英国で盛り上がったブリティッシュ・ビートやR&Bの流れのなかで登場した。荒々しいギター・サウンドと、メイの野性的で力強いボーカルを武器に、当時の英国ロック・シーンで独自の存在感を放った。
1964年にはシングル「Rosalyn」「Don’t Bring Me Down」を発表。翌年にはデビュー・アルバム『The Pretty Things』と『Get the Picture?』をリリースし、英国のR&Bロックを代表するバンドのひとつとして知られるようになった。
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彼らの音楽性は、単なるブルース・ロックにとどまらなかった。1967年の『Emotions』を経て、1968年にはサイケデリック・ロックの重要作『S.F. Sorrow』を発表。物語性を持ったコンセプト・アルバムとして、後のロック・オペラの先駆的作品と評価されている。
フィル・メイはボーカリストとしてだけでなく、バンドの主要な作詞家としても活躍。特に『S.F. Sorrow』では物語の世界を形作る歌詞を手がけ、ザ・プリティ・シングスの創造性を支えた。
彼らは商業的には同時代のローリング・ストーンズやザ・フーほどの成功を収めなかったものの、デヴィッド・ボウイやエアロスミスなど、後の世代のアーティストにも影響を与えた。ボウイはアルバム『Pin Ups』で「Rosalyn」と「Don’t Bring Me Down」をカバーしている。
ザ・プリティ・シングスは2018年12月にロンドンで最後の公演を行い、長い活動に幕を下ろした。フィル・メイは2020年5月15日、75歳で亡くなった。
時代の流行に流されることなく、R&Bからサイケデリック・ロック、コンセプト・アルバムへと表現を広げたザ・プリティ・シングス。その中心で歌い続けたフィル・メイは、英国ロックの知られざる重要人物のひとりである。
音楽的挑戦『S.F. Sorrow Is Born』
1968年発表のコンセプト・アルバム『S.F. Sorrow』に収録された楽曲。主人公セバスチャン・F・ソローの誕生を描く物語の始まりに位置する。フィル・メイのボーカルとサイケデリックなサウンドが、バンドの新たな音楽的挑戦を象徴している。
