2026年6月5日リリース
ゴシックな世界観と重厚なロック・サウンド、そしてAmy Leeの圧倒的なヴォーカルで知られるEvanescence。2021年の『The Bitter Truth』以来、約5年ぶりとなるスタジオ・アルバムが、2026年発表の『Sanctuary』である。
通算6作目となる本作は、バンドが築き上げてきたドラマティックなメロディとヘヴィなギター・サウンドを軸に、現代的なエレクトロニック・サウンドや緻密なプログラミングを取り入れた作品だ。
プロデュースには、Zakk Cervini、Jordan Fish、Nick Raskulineczらが参加。楽曲ごとに異なる制作陣の強みを生かしながら、Evanescenceらしい壮大なサウンドを現代的なプロダクションで描き出している。
アルバム・タイトルの「Sanctuary」は「聖域」や「安らぎの場所」を意味する。Amy Leeは、音楽を通じて人々がつながり、希望を見いだせる場所という思いをこのタイトルに込めている。
ゴシックな美学と現代的なヘヴィ・サウンドの融合
Evanescenceは、2003年のメジャー・デビュー作『Fallen』で世界的な成功を収めた。「Bring Me to Life」「My Immortal」などのヒットによって、ゴシックな雰囲気とオルタナティヴ・メタルを融合させたサウンドを広く知らしめたバンドである。
その後も『The Open Door』『Evanescence』『The Bitter Truth』と作品を重ね、重厚なギター・リフ、ピアノやストリングスを取り入れたアレンジ、Amy Leeの表現力豊かなヴォーカルを中心に、独自の音楽性を追求してきた。
『Sanctuary』では、そうしたバンドの個性を維持しながら、電子音やプログラミングをより積極的に取り入れている。ヘヴィなギターとシンセサイザーが交錯するサウンドは、従来のゴシック・ロックのイメージにとどまらず、現代のオルタナティヴ・メタルにも通じる質感を持つ。
一方、楽曲の中心にあるのは、あくまでもメロディとヴォーカルだ。繊細なピアノから壮大なサビへと展開する構成や、静と動のコントラストを生かしたアレンジには、Evanescenceならではのドラマティックな魅力が息づいている。
現代社会へのまなざしと、希望を求めるメッセージ
本作の背景には、不安定な時代の中で何を信じ、どこに心の拠り所を見つけるのかというテーマがある。
Amy Leeは、創作活動を通じて自分自身の感情と向き合い、音楽によって人々がつながることの重要性を語っている。タイトルの『Sanctuary』にも、音楽が心の避難場所となり、希望を見つけるきっかけになってほしいという思いが表れている。
アルバムの冒頭を飾る「Beautiful Lie」から、現代的なサウンドとバンドらしいドラマ性が交差する「Who Will You Follow」、そしてタイトル曲「Sanctuary」へと続く流れは、作品全体の世界観を印象づける。
また、「How Do I Heal」「Forever Without You」といった楽曲では、傷ついた心や喪失と向き合う内省的な側面も見せる。ヘヴィな演奏だけでなく、感情の揺れを丁寧に描くバラードも、本作を構成する重要な要素だ。
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収録曲
- Beautiful Lie
- Tell Me When You’ve Had Enough
- Who Will You Follow
- Rapture
- Afterlife
- Sanctuary
- How Do I Heal
- About Us
- Calm Down
- Self Destruct
- Forever Without You
- Wide Open Heart
※通常盤の収録曲・曲順。日本盤にはボーナス・トラックを収録した仕様もある。
メンバー
- Amy Lee:ヴォーカル、ピアノ、キーボード、プログラミング
- Tim McCord:ギター
- Troy McLawhorn:ギター
- Emma Anzai:ベース、ヴォーカル
- Will Hunt:ドラムス
本作では、Amy Leeを中心とする5人編成がEvanescenceのサウンドを支えている。
Amyのヴォーカルは、繊細な表現から力強いシャウトに近い歌唱まで幅広く、楽曲にドラマティックな起伏を与える。2本のギターが生み出す重厚なリフと、Will Huntの力強いドラミングがサウンドの土台を形成。Emma Anzaiのベースとヴォーカルも、楽曲に厚みを加えている。
なお、本作はベーシストのEmma Anzaiが参加した初のEvanescenceのスタジオ・アルバムでもある。
プロダクション
- プロデューサー:Zakk Cervini、Jordan Fish、Nick Raskulineczほか
- ミキシング:Zakk Cervini
- レーベル:BMG、Columbia
- リリース日:2026年6月5日
本作は複数のプロデューサーが楽曲ごとに参加する制作体制を採用している。
Zakk CerviniとJordan Fishは、現代的なヘヴィ・ロックやエレクトロニックなサウンドを取り入れた楽曲で制作を担当。一方、Nick Raskulineczは、Evanescenceの持つ重厚なバンド・サウンドを生かした楽曲を手がけている。
作品全体では、ギター、ドラムス、ピアノ、シンセサイザー、プログラミング、ストリングスなどが緻密に組み合わされている。バンドの生々しい演奏と、現代的なスタジオ・ワークの両方を生かしたプロダクションが特徴だ。
代表曲 Who Will You Follow
『Sanctuary』からの先行シングルとして2026年4月10日に発表された「Who Will You Follow」。
ピアノや電子音を生かした導入から、重厚なギターと力強いドラムスが加わり、Evanescenceらしい壮大なサビへと展開する。Amy Leeの感情豊かなヴォーカルが楽曲の中心にあり、繊細さと攻撃性を併せ持つサウンドが印象的だ。
歌詞では、現実への信頼が揺らぐ状況の中で、何を信じ、誰についていくのかという問いが投げかけられる。情報や価値観が錯綜する現代社会への問題意識とも重なるテーマであり、アルバム全体の方向性を象徴する一曲といえる。
本作の制作陣による現代的なサウンド・デザインと、Amy Leeのドラマティックな歌唱が結びついた、アルバムを代表する楽曲だ。
進化を続けるEvanescenceの現在地
『Sanctuary』は、Evanescenceが過去の成功をなぞるだけでなく、現代的なサウンドを取り入れながら自らの音楽性を更新し続けていることを示す作品である。
『Fallen』で確立したゴシックな美学とドラマティックなメロディを土台に、電子音や重厚なプロダクションを組み合わせることで、バンドの新たな一面を打ち出している。
その一方で、Amy Leeのヴォーカルを中心に据えた楽曲構成や、喪失、葛藤、希望といったテーマは一貫している。時代に合わせてサウンドを変化させながらも、感情に訴えかける音楽という核を失っていない点が、本作の大きな魅力だ。
『Sanctuary』は、Evanescenceのキャリアを振り返るうえで、そして現在のヘヴィ・ロックがどのように進化しているのかを知るうえでも、注目すべき一枚といえるだろう。


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