Deep Purple『Last Concert in Japan』

アルバム

1977年3月16日リリース(日本)

Tommy Bolin在籍時の第4期Deep Purpleを記録した日本公演

『Last Concert in Japan』は、Deep Purpleが1977年に発表したライブ・アルバムである。収録されているのは、1975年12月15日に東京・日本武道館で行われた公演で、ギタリストにTommy Bolinを迎えた第4期Deep Purple(Mark IV)の日本公演を記録した作品だ。

1975年、Ritchie Blackmoreがバンドを脱退。後任ギタリストとして迎えられたのが、アメリカ出身のTommy Bolinだった。

BolinはJames Gangや自身のソロ活動などで知られ、ブルース、ファンク、ジャズ・フュージョンなど幅広い音楽性を持つギタリストだった。彼の加入によって、Deep Purpleのサウンドは従来のハードロックを基盤としながらも、よりファンキーで多彩な方向へと変化していく。

この新体制で制作されたスタジオ・アルバムが、1975年発表の『Come Taste the Band』である。

David Coverdaleのボーカル、Glenn Hughesのベースとボーカル、Jon Lordのキーボード、Ian Paiceのドラムという布陣にBolinの個性的なギターが加わり、従来の第2期Deep Purpleとは異なる音楽的な魅力を生み出していた。

本作は、そんな第4期Deep Purpleが日本で行った最後の公演を収録した作品であり、Tommy Bolin在籍時のバンドの姿を伝える貴重な記録となっている。

日本武道館での最後のステージ

1975年12月15日の日本武道館公演は、同年12月に行われたDeep Purpleの日本ツアーの最終公演だった。

当日のセットリストには、「Burn」「Smoke on the Water」「Highway Star」といった過去の代表曲に加え、『Come Taste the Band』からの楽曲も組み込まれていた。

特に「Lady Luck」「Love Child」「You Keep On Moving」「Gettin’ Tighter」などは、新体制の音楽性を示す重要なレパートリーだった。

一方、従来のDeep Purpleを象徴する楽曲も演奏されており、バンドの歴史を受け継ぎながら新しい方向性を模索していた時期の姿がうかがえる。

ただし、本作は当日のコンサート全編を収録したものではない。オリジナル盤には演奏の一部が選ばれて収録されており、実際の公演ではさらに多くの楽曲が披露されていた。

当日の演奏には、Tommy Bolinのギターをめぐって現在もさまざまな評価がある。従来のRitchie Blackmoreとは異なるプレイスタイルを持つBolinの加入は、バンドに新しい可能性をもたらした一方、演奏面での不安定さを指摘されることもあった。

本作は、そうした第4期Deep Purpleの過渡期を含め、当時のバンドの実像を知ることができるライブ記録でもある。

メロディやコーラスを重視した第4期『You Keep On Moving』

「You Keep On Moving」は、『Come Taste the Band』の最後を飾った楽曲で、David CoverdaleとGlenn Hughesによって書かれた。

Glenn HughesのメロディアスなボーカルとDavid Coverdaleの歌唱が重なり、アルバムの中でも特に印象的なナンバーとなっている。

ライブでもその魅力は失われておらず、Jon LordのキーボードとTommy Bolinのギターが楽曲に奥行きを与えている。

従来のDeep Purpleが持っていたハードロックの力強さだけでなく、メロディやコーラスを重視した第4期ならではの音楽性を感じさせる演奏だ。

Tommy Bolinの演奏を記録した歴史的なライブ盤

本作を語るうえで避けて通れないのが、Tommy Bolinの演奏をめぐる評価である。

Bolinは優れた技術と幅広い音楽性を持つギタリストだったが、この日本公演については、演奏の不安定さが指摘されてきた。

Glenn Hughesも後年、この日の演奏について厳しい評価を述べている。特にBolinのコンディションが万全ではなかったことが、演奏に影響したとされる。

そのため、本作はDeep Purpleのライブ・アルバムの中でも評価が分かれる作品となっている。

一方で、Tommy Bolinが参加したDeep Purpleのライブ音源は決して多くなく、彼の在籍時の演奏を記録した資料として重要な意味を持っている。

また、1976年12月4日に25歳で亡くなったBolinにとって、本作は没後に発表された作品でもある。アルバムはTommy Bolinに捧げられており、彼の短い活動期間を振り返るうえでも欠かせない記録となった。

完全版『This Time Around: Live in Tokyo』との違い

『Last Concert in Japan』は、当日のコンサートから選ばれた演奏を収録した作品だが、2001年には同じ公演の全体像をより詳しく伝えるライブ・アルバム『This Time Around: Live in Tokyo』が発表された。

こちらには、オリジナル盤では聴くことのできなかった「Gettin’ Tighter」「This Time Around」「Stormbringer」などの演奏も収録されている。

また、オリジナル盤は1枚のLPに収めるために演奏が編集されており、音質面でも当初の録音が十分に生かされていなかったとされる。2001年の作品では、録音の復元とリマスタリングが行われ、当日のステージをより広い視点から楽しめるようになった。

なお、オリジナル盤のジャケットには「Woman from Tokyo」のライブ演奏が収録されている旨の記載があるが、実際にはJon Lordのキーボード・ソロ中に同曲のメインリフが短く演奏されている部分であり、完全な楽曲として収録されているわけではない。

オリジナル盤と完全版を聴き比べることで、当日の演奏や第4期Deep Purpleの音楽性をより深く理解することができる。

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参加メンバー・制作クレジット

本作に参加したメンバーは、第4期Deep Purpleの以下の5人。

  • David Coverdale:ボーカル
  • Tommy Bolin:ギター、ボーカル(「Wild Dogs」)
  • Glenn Hughes:ベース、ボーカル
  • Jon Lord:キーボード、ハモンドオルガン
  • Ian Paice:ドラム

プロデュースはDeep PurpleとMartin Birchが共同で担当。エンジニアリングもMartin Birchが手掛け、アシスタント・エンジニアはShigeo Matsumotoが務めた。

Martin Birchは、Deep Purpleをはじめ、Rainbow、Iron Maidenなど数多くのハードロック/ヘヴィメタル作品を手掛けた名エンジニアであり、バンドのサウンドを支えた重要なスタッフのひとりである。

録音は1975年12月15日、東京・日本武道館で行われた。

アルバムのジャケット・デザインはKeishi Akasaka、写真はKenji Miuraが担当している。

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収録曲

Side A

  1. Burn
  2. Love Child
  3. You Keep On Moving
  4. Wild Dogs

Side B

  1. Lady Luck
  2. Smoke on the Water
  3. Soldier of Fortune
  4. Woman from Tokyo / Jon Lord Solo
  5. Highway Star

第4期Deep Purpleの姿を伝える貴重な記録

『Last Concert in Japan』は、Deep Purpleの長い歴史の中でも短期間で終わった第4期の活動を記録したライブ・アルバムである。

Ritchie Blackmore脱退後に加入したTommy Bolinは、従来のギタリストとは異なる音楽的な個性を持ち、バンドに新しい可能性をもたらした。しかし、その活動は長く続かず、1976年にはDeep Purple自体が解散することになる。

本作は、そうした時代の転換期におけるバンドの姿を伝える作品であり、演奏面で賛否があることも含めて、第4期Deep Purpleの歴史を知るうえで重要な一枚だ。

完成度の高いライブ盤として評価するだけではなく、Tommy Bolinという個性的なギタリストがDeep Purpleに在籍した時代の記録として聴くことで、本作の持つ意味はより深まる。

『Come Taste the Band』とともに、第4期Deep Purpleの音楽的な挑戦を振り返るうえで欠かせない作品である。

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