Nirvana『Live at Reading』

アルバム

2009年11月3日リリース(米国)

1990年代のオルタナティヴ・ロック/グランジ・ムーヴメントを象徴する存在、Nirvana。その絶頂期にあたる1992年8月30日、イギリスのレディング・フェスティバルでヘッドライナーを務めた歴史的なステージを収録したライヴ作品が『Live at Reading』である。

この公演は、長年にわたってブートレグでも知られてきた伝説的なライヴだった。2009年、CDとDVDを組み合わせた作品として正式にリリースされ、当日の演奏を映像と音源の両方で楽しめるようになった。

伝説となった1992年レディング・フェスティバル

1992年のNirvanaは、前年に発表した『Nevermind』の世界的な成功によって、アンダーグラウンドの存在から一気に時代を代表するバンドへと躍進していた。

その一方で、バンドを取り巻く環境は大きく変化し、フロントマンのKurt Cobainをめぐるさまざまな憶測も飛び交っていた。そんな状況のなかで迎えたレディング・フェスティバルのヘッドライナー公演は、Nirvanaのキャリアを語るうえで欠かせないステージとして記憶されている。

当日のCobainは車椅子に乗ってステージに登場。周囲の噂を皮肉るような演出を見せた後、バンドは圧倒的な音圧とエネルギーで観客を引き込んでいく。

演奏されたのは、初期の荒々しい楽曲から『Nevermind』のヒット曲、さらに後の『In Utero』へとつながる楽曲まで、バンドの歩みを俯瞰できる幅広い選曲。全25曲、約80分にわたるパフォーマンスは、Nirvanaの持つ魅力を余すところなく伝えている。

初期の衝動から代表曲までを網羅したセットリスト

オープニングの「Breed」から「Drain You」「Aneurysm」へと続く序盤は、勢いのある演奏が畳みかけるように展開する。

「Smells Like Teen Spirit」「Come As You Are」「Lithium」といった『Nevermind』の代表曲では、世界的な成功を収めたバンドとしての存在感を発揮。一方、「Sliver」「About a Girl」「Blew」などの初期楽曲では、Nirvanaの原点にあるパンク/オルタナティヴな衝動を感じ取ることができる。

特に注目したいのは、当時まだ正式なスタジオ・アルバムに収録されていなかった「Dumb」「All Apologies」「Tourette’s」などの楽曲が披露されている点だ。これらは翌1993年発表の『In Utero』へとつながる重要な楽曲であり、アルバム完成前のライヴ・ヴァージョンを聴けることにも価値がある。

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収録曲

  1. Breed
  2. Drain You
  3. Aneurysm
  4. School
  5. Sliver
  6. In Bloom
  7. Come As You Are
  8. Lithium
  9. About a Girl
  10. Tourette’s
  11. Polly
  12. Lounge Act
  13. Smells Like Teen Spirit
  14. On a Plain
  15. Negative Creep
  16. Been a Son
  17. All Apologies
  18. Blew
  19. Dumb
  20. Stay Away
  21. Spank Thru
  22. Love Buzz
  23. The Money Will Roll Right In
  24. D-7
  25. Territorial Pissings

※上記は公式ディスコグラフィー掲載の収録曲順。

メンバー

  • Kurt Cobain:ヴォーカル、ギター
  • Krist Novoselic:ベース
  • Dave Grohl:ドラムス、バック・ヴォーカル

この公演のNirvanaは、Kurt Cobain、Krist Novoselic、Dave Grohlによる3人編成。シンプルな編成ながら、Cobainのギターとヴォーカル、Novoselicのうねるベース、Grohlの力強いドラミングが一体となり、強烈なサウンドを生み出している。

代表曲 Smells Like Teen Spirit

『Nevermind』からの代表曲であり、Nirvanaを世界的な存在へと押し上げた「Smells Like Teen Spirit」。

スタジオ・ヴァージョンの持つ印象的なダイナミクスはそのままに、ライヴならではの荒々しさと緊張感が加わっている。Cobainのギターが生み出す轟音とGrohlのパワフルなドラミングがぶつかり合い、楽曲の持つ爆発力をさらに際立たせる。

この曲が演奏された1992年のレディング公演は、Nirvanaが時代の中心にいた瞬間を記録したものでもある。

グランジの時代を刻んだ歴史的ライヴ作品

『Live at Reading』は、単なる過去のライヴ音源の発掘作品ではない。『Nevermind』の成功によって世界的な注目を集めたNirvanaが、巨大なフェスティバルのヘッドライナーとしてステージに立ち、その存在感を見せつけた瞬間を記録した作品である。

初期の楽曲から大ヒット曲、そして『In Utero』へとつながる未発表段階の楽曲までを含むセットリストは、バンドの音楽的な変遷を一度に味わえる内容となっている。

Kurt Cobainの死後、Nirvanaの活動は伝説として語り継がれてきた。しかし、この作品で聴くことができるのは、伝説になる以前の、ステージ上で圧倒的なエネルギーを放っていたバンドそのものの姿だ。

Nirvanaのライヴ・パフォーマンスを知るうえで、そして1990年代のロック・シーンを振り返るうえでも、重要な記録といえるだろう。

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