Angel Witch『Angel of Light』(エンジェル・オブ・ライト)

アルバム

2019年11月1日リリース(英国・米国・日本)

作品概要

『Angel of Light』は、イギリスのヘヴィメタル・バンド、エンジェル・ウィッチが2019年に発表した5作目のスタジオ・アルバムである。

1980年のセルフタイトル・デビュー作でNWOBHM(ニュー・ウェイヴ・オブ・ブリティッシュ・ヘヴィメタル)の重要バンドとして注目を集めた彼らにとって、本作は前作『As Above, So Below』(2012年)以来、約7年ぶりとなるオリジナル・アルバムだ。

バンドの中心人物であり、ヴォーカルとギターを担当するケヴィン・ヘイボーンが作曲面を主導。初期エンジェル・ウィッチの特徴だった暗く幻想的な世界観、重厚なリフ、メロディアスなギター・ワークを現代的なサウンドで再構築している。

アルバムには全8曲を収録。冒頭の「Don’t Turn Your Back」から力強いリフで幕を開け、「Death from Andromeda」「We Are Damned」と続く。中盤には、長尺でブルージーな「The Night Is Calling」や、重苦しい雰囲気を持つ「Window of Despair」を配置。最後は6分を超えるタイトル曲「Angel of Light」で締めくくられる。

長い活動歴を持つバンドが、過去の名声に頼ることなく、自らの音楽性を貫いた力作である。

サウンドと音楽的特徴

本作のサウンドを特徴づけているのは、ケヴィン・ヘイボーンのギターが生み出す、暗く重厚なリフと叙情的な旋律の組み合わせだ。

エンジェル・ウィッチは、NWOBHMの中でもブラック・サバスから受け継いだような暗黒的な雰囲気と、スピード感のあるブリティッシュ・メタルを融合させた独自のスタイルで知られている。本作でも、その個性は明確に受け継がれている。

「Don’t Turn Your Back」は、勢いのあるリフと印象的なメロディーを備えたオープニング・ナンバー。続く「Death from Andromeda」は、SFやホラーを思わせる幻想的な世界観と、ドラマティックな展開が魅力だ。

「The Night Is Calling」では、ブルースを感じさせるギター・フレーズと重厚なリフが組み合わさり、7分を超える演奏の中で独特の緊張感を生み出している。

また、「Window of Despair」は疾走感と重苦しさを併せ持つ楽曲で、ヘイボーンのリフ・メイキングの魅力が際立つ。

アルバム全体を通して、過度に現代的な音作りに走ることなく、バンドの持ち味である生々しい演奏とヘヴィなサウンドを重視している。往年のNWOBHMファンはもちろん、ドゥーム・メタルや伝統的なヘヴィメタルを好むリスナーにも訴求する作品だ。

制作背景と歴史的意義

エンジェル・ウィッチは1970年代後半に活動を開始し、1980年にデビュー・アルバム『Angel Witch』を発表。アイアン・メイデン、サクソン、ダイアモンド・ヘッドなどとともに、NWOBHMを代表するバンドの一つとして知られるようになった。

その音楽性は、当時の英国ヘヴィメタルの中でも独特だった。ブラック・サバスを思わせる暗いムード、オカルトや幻想的な題材、そして鋭いギター・リフを組み合わせたスタイルは、後のスラッシュ・メタルやドゥーム・メタルにも影響を与えている。

その後、メンバー交代や活動休止などを経験しながらも、ケヴィン・ヘイボーンを中心にバンドは活動を継続。2012年には『As Above, So Below』を発表し、再びアルバム制作に本格的に取り組んだ。

本作『Angel of Light』では、ヘイボーンのソングライティングがさらに充実。特筆すべき点は、「Don’t Turn Your Back」と「The Night Is Calling」が、1980年代からライブで演奏されていた楽曲でありながら、本作で初めて正式なスタジオ録音として発表されたことだ。

長年ファンの間で知られていた楽曲が、現在のバンド編成によって正式に作品化されたという意味でも、興味深い内容となっている。

レコーディングはイギリス・リーズのThe Stationhouse Studioで行われ、ジェームズ・アトキンソンがプロデュース、エンジニアリング、ミックスを担当。過度な加工を避け、バンドの演奏の迫力を活かした仕上がりとなった。

収録曲

  1. Don’t Turn Your Back
  2. Death from Andromeda
  3. We Are Damned
  4. The Night Is Calling
  5. Condemned
  6. Window of Despair
  7. I Am Infamy
  8. Angel of Light

全8曲収録。

参加ミュージシャン

Angel Witch

  • Kevin Heybourne(ケヴィン・ヘイボーン) – Vocals, Lead Guitar
  • Jimmy Martin(ジミー・マーティン) – Rhythm Guitar, Electronics(「Death from Andromeda」)
  • Will Palmer(ウィル・パーマー) – Bass
  • Fredrik Jansson-Punkka(フレドリック・ヤンソン=プンカ) – Drums

Additional Musicians

  • James Atkinson(ジェームズ・アトキンソン) – Backing Vocals, Hammond Organ(「Angel of Light」)

作品情報

  • アーティスト:Angel Witch
  • アルバム:Angel of Light
  • リリース:2019年11月1日
  • レーベル:Metal Blade Records
  • 日本盤レーベル:Trooper Entertainment
  • 日本盤品番:QATE-10119
  • プロデューサー:James Atkinson
  • レコーディング・スタジオ:The Stationhouse Studio(Leeds, England)
  • エンジニアリング/ミックス:James Atkinson
  • マスタリング:Terry Waker(Tonalex Mastering)
  • ジャケット・アート:Adam Burke
  • スタジオ・アルバム:5作目
  • 収録曲数:8曲

代表曲 Death from Andromeda

「Death from Andromeda」は、本作を代表する楽曲の一つであり、アルバムの世界観を象徴するナンバーだ。

タイトルが示すように、アンドロメダからの脅威を思わせるSF的な題材を持ち、エンジェル・ウィッチらしい暗く幻想的な雰囲気が楽曲全体を包み込んでいる。

ケヴィン・ヘイボーンのギターが生み出す重厚なリフと、ドラマティックな展開が聴きどころ。古典的なブリティッシュ・ヘヴィメタルの魅力を保ちながら、長いキャリアを経たバンドならではの風格も感じさせる。

本作のリリースに合わせて、この曲のオフィシャル・ミュージック・ビデオも公開された。SFやホラーを思わせる映像表現も、バンドが長年培ってきた幻想的な世界観とよく結び付いている。

NWOBHMの伝統を受け継ぎながら、今なお独自のヘヴィメタルを鳴らし続けるエンジェル・ウィッチ。その魅力を知るうえで、ぜひ聴いておきたい一曲である。

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