1941年11月5日、アメリカ・ニューヨーク市クイーンズ区フォレストヒルズに、後に世界的なフォーク・ロック・デュオ、サイモン&ガーファンクル(Simon & Garfunkel)の一員として名声を築くアート・ガーファンクル(Art Garfunkel)が生まれた。
本名はアーサー・アイラ・ガーファンクル。透明感のある美しいテノール・ボイスと繊細な表現力を持ち、ポール・サイモンとの絶妙なハーモニーによって、1960年代から70年代のポピュラー音楽史に大きな足跡を残したシンガーだ。
ポール・サイモンとは幼いころからの友人で、二人は同じ学校に通っていた。1950年代には「トム&ジェリー(Tom & Jerry)」という名前で音楽活動を始め、1957年にはシングル「Hey, Schoolgirl」を発表。全米チャートにもランクインし、若くしてレコード・デビューを果たした。
その後、アートはコロンビア大学で学び、ポールもそれぞれの道を歩んだが、1960年代初頭に再び音楽活動を共にするようになる。1963年にはサイモン&ガーファンクルとして活動を本格化させ、翌1964年にアルバム『Wednesday Morning, 3 A.M.』を発表した。
当初は大きな成功を収められなかったものの、収録曲「The Sound of Silence」が後にエレクトリック・サウンドを加えたバージョンでヒット。1966年には全米チャート1位を獲得し、二人の名前は一気に広く知られることとなった。
続く『Parsley, Sage, Rosemary and Thyme』『Bookends』などのアルバムも高く評価され、「Mrs. Robinson」「Scarborough Fair」「The Boxer」といった名曲を生み出していく。
サイモン&ガーファンクルの音楽を特徴づけていたのは、ポール・サイモンの優れたソングライティングと、アート・ガーファンクルの澄み切った歌声が織りなすハーモニーだった。ポールが作り上げるメロディーや歌詞に、アートの歌声が独特の透明感と奥行きを与えていたのである。
二人の活動の頂点となったのが、1970年発表のアルバム『Bridge Over Troubled Water』だ。タイトル曲はアートがリード・ボーカルを担当し、その圧倒的な歌唱力を世界に印象づけた。アルバムはグラミー賞で主要部門を含む6部門を受賞し、デュオの代表作として音楽史に刻まれている。
しかし、成功の一方で二人の音楽的な方向性や活動方針には違いが生まれ、同作の発表後、サイモン&ガーファンクルは活動を停止。それぞれソロとしての道を歩み始めた。
アートは1973年にソロ・アルバム『Angel Clare』を発表。「All I Know」などの楽曲でソロ・アーティストとしても評価を得た。さらに映画『キャッチ22』や『愛の狩人』などに出演し、俳優としても活動。音楽以外の分野にも表現の幅を広げていった。
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1981年にはニューヨークのセントラル・パークでポール・サイモンと再共演。大勢の観客を集めたこのコンサートは大きな話題となり、翌年にはライブ・アルバム『The Concert in Central Park』としても発表された。
その後も二人は時折ステージで共演し、サイモン&ガーファンクルとしての音楽をファンに届けてきた。
アート・ガーファンクルの魅力は、単に美しい声を持つシンガーというだけではない。楽曲の感情を丁寧にすくい上げ、聴く者の心に深く届ける表現力こそが、彼を特別な存在にしている。
サイモン&ガーファンクルが残した数々の名曲は、発表から半世紀以上を経た現在も世界中で聴き継がれている。そのサウンドの中心にあったアート・ガーファンクルの歌声は、これからも色あせることなく響き続けるだろう。
アート・ガーファンクルのボーカリストとしての魅力を象徴『Bridge Over Troubled Water』
1970年発表のアルバム『Bridge Over Troubled Water』のタイトル曲。作詞・作曲はポール・サイモン、リード・ボーカルはアート・ガーファンクルが担当した。
静かなピアノの伴奏から始まり、曲が進むにつれて壮大なサウンドへと展開していく構成が印象的だ。アートの伸びやかで透明感のある歌声は、楽曲に込められた優しさや力強さを見事に表現している。
サイモン&ガーファンクルを代表する名曲であると同時に、アート・ガーファンクルのボーカリストとしての魅力を象徴する一曲でもある。
YouTube参考リンク: Simon & Garfunkel「Bridge Over Troubled Water」検索



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