1994年11月1日リリース(米国)
アルバムの概要
『Youthanasia』は、アメリカのスラッシュメタルバンドMegadethが1994年に発表した6枚目のスタジオ・アルバムである。
前作『Countdown to Extinction』(1992年)の商業的成功を受けて制作された本作は、Megadethがそれまで築いてきたスラッシュメタルの攻撃性を残しながら、よりメロディアスで洗練されたサウンドへと進化した作品だ。
アルバムタイトルの『Youthanasia』は、「Youth(若者)」と「Euthanasia(安楽死)」を組み合わせた造語。若者たちが社会によって未来を奪われていく状況を、強烈な言葉で表現している。
Dave Mustaineが描く社会への批判や人間の内面に迫る歌詞は本作でも健在で、単なるヘヴィメタル作品にとどまらないメッセージ性を持っている。
本作は全米Billboard 200で最高4位を記録し、1995年にはアメリカでプラチナ認定を獲得。Megadethのキャリアにおいても、商業的な成功と音楽的な成熟を両立させた重要なアルバムとなった。
音楽性とサウンドの特徴
『Youthanasia』の最大の特徴は、それまでのMegadethの作品と比較して、楽曲の構成がより整理され、メロディを重視したサウンドになっている点だ。
『Rust in Peace』(1990年)で聴かれた複雑なギターリフやテクニカルな演奏を基盤としながらも、曲全体の流れを重視したアレンジが採用されている。
Dave Mustaineのギターは鋭さを保ちつつ、Marty Friedmanの表情豊かなリードギターが楽曲に叙情性を加えている。David EllefsonのベースとNick Menzaのドラムも、重厚で安定感のあるリズムセクションを形成している。
特に「Train of Consequences」のようなグルーヴ感のある楽曲から、「À Tout le Monde」のような美しいメロディを持つ楽曲まで、幅広い表現が収められている。
また、アルバム全体を通してギターの音像が整理され、重厚ながらも聴きやすいサウンドに仕上がっている。
この方向性は、後の『Cryptic Writings』(1997年)へとつながるMegadethの音楽的な変化を理解するうえでも重要だ。
制作背景
本作の制作は1994年、アリゾナ州フェニックスで行われた。
プロデューサーには前作に続いてMax Normanを起用。Dave Mustaineとともに制作を進めた。
レコーディングにあたっては、当初予定していたスタジオの設備に問題が生じたため、バンドはフェニックスの倉庫を借り、自分たちでレコーディング環境を構築するという方法を選択した。
このスタジオは「Fat Planet」あるいは「Hangar 18」と呼ばれ、アルバムの制作拠点となった。
また、本作ではバンド全体で基本演奏を録音する手法も取り入れられ、メンバー間の演奏の一体感がサウンドに反映されている。
完成したアルバムは、前作から続くメロディアスな方向性をさらに推し進めた作品となった。
収録曲
- Reckoning Day(審判の日)
- Train of Consequences(終わりなき旅路)
- Addicted to Chaos(カオスへの誘惑)
- À Tout le Monde(ア・トゥー・ル・モンド)
- Elysian Fields(エリュシオン・フィールズ)
- The Killing Road(ザ・キリング・ロード)
- Blood of Heroes(ブラッド・オブ・ヒーローズ)
- Family Tree(ファミリー・ツリー)
- Youthanasia(ユースアネイジア)
- I Thought I Knew It All(アイ・ソート・アイ・ニュー・イット・オール)
- Black Curtains(ブラック・カーテンズ)
- Victory(ヴィクトリー)
参加メンバー
Megadeth
- Dave Mustaine(デイヴ・ムステイン)- Vocals, Guitars
- Marty Friedman(マーティ・フリードマン)- Guitars, Backing Vocals
- David Ellefson(デヴィッド・エレフソン)- Bass, Backing Vocals
- Nick Menza(ニック・メンザ)- Drums, Backing Vocals
ゲストミュージシャン
- Jimmie Wood(ジミー・ウッド)- Harmonica(「Train of Consequences」「Elysian Fields」)
作品情報
- アーティスト:Megadeth(メガデス)
- アルバム名:Youthanasia(ユースアネイジア)
- 発売日:1994年11月1日
- 発売国:アメリカ
- レーベル:Capitol Records
- 作品形態:スタジオ・アルバム
- アルバム通算:6作目
- 収録曲数:12曲(オリジナル盤)
- 録音:1994年、アメリカ・アリゾナ州フェニックス
- プロデューサー:Dave Mustaine、Max Norman
- ミキシング:Dave Mustaine、Max Norman
- マスタリング:Bob Ludwig
チャート・セールス
- 全米Billboard 200:最高4位
- アメリカ:1995年プラチナ認定
代表曲 À Tout le Monde(ア・トゥー・ル・モンド)
『Youthanasia』を代表する楽曲であり、Megadethのキャリアを通じても特に人気の高いナンバーのひとつ。
フランス語で「世界中のすべての人へ」を意味するタイトルを持ち、Dave Mustaineの内省的な歌詞と、哀愁を帯びた美しいメロディが印象的な楽曲だ。
死を迎える人間が友人たちに向けて最後の言葉を残すという内容で、別れや人生の終わりをテーマにしている。
冒頭から印象的なギターの旋律が展開され、Dave Mustaineの独特な歌声とMarty Friedmanの叙情的なギターが楽曲に深い感情を与えている。
従来のMegadethが持つ攻撃的なスラッシュメタルとは異なる、メロディアスでドラマティックな魅力を存分に味わえる作品だ。
この曲は1995年にシングルとしても発表され、Megadethの代表曲として広く知られるようになった。
なお、2007年のアルバム『United Abominations』では、Lacuna CoilのCristina Scabbiaをゲストボーカルに迎えた新バージョン「A Tout le Monde (Set Me Free)」も発表されている。
YouTube(公式ミュージックビデオ)



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