2005年11月1日リリース(米国)
2005年12月16日リリース(日本)
作品概要
『Rapture of the Deep』は、イギリスのハードロック・バンド、ディープ・パープルが2005年に発表した18作目のスタジオ・アルバムである。
前作『Bananas』(2003年)に続き、マイケル・ブラッドフォードをプロデューサーに迎えて制作。スティーヴ・モーズ(ギター)、ドン・エイリー(キーボード)を含む5人編成で作り上げた、2000年代のディープ・パープルを代表する作品の一つだ。
ドン・エイリーは、2002年にジョン・ロードの後任として加入。本作は彼が参加した2作目のスタジオ・アルバムとなる。ジョン・ロードが築いてきたオルガンを中心とするサウンドを受け継ぎながらも、エイリーならではのピアノやキーボード・アレンジが加わり、バンドの表現に新たな広がりをもたらしている。
収録曲は、力強いリフを持つ「Money Talks」「Wrong Man」から、タイトル曲「Rapture of the Deep」、落ち着いたバラード「Clearly Quite Absurd」、そして6分を超える壮大な「Before Time Began」まで多彩。ブルースを基調としたハードロックを軸に、メロディアスな楽曲やプログレッシヴな展開も盛り込まれている。
サウンドと音楽的特徴
本作の大きな魅力は、ディープ・パープルらしいギターとオルガンの掛け合いを保ちながら、スティーヴ・モーズとドン・エイリーの個性が自然に融合している点にある。
モーズのギターは、リッチー・ブラックモアやジョー・サトリアーニとは異なる、幅広い音色と流麗なフレージングが特徴。ブルース・ロックを土台にしながら、テクニカルなプレイやメロディアスなソロを随所に聴かせる。
一方、ドン・エイリーのキーボードは、ジョン・ロードの後任という立場にとどまらない。オルガンによる重厚なサウンドだけでなく、ピアノを活かした繊細なアレンジも取り入れ、楽曲に奥行きを与えている。
「Money Talks」「Girls Like That」「Wrong Man」では、重心の低いリフと躍動感のあるリズムが前面に出る。「Clearly Quite Absurd」では一転して穏やかなピアノと抑制されたイアン・ギランの歌唱が印象的だ。
また、タイトル曲では独特の東洋的な雰囲気を感じさせる旋律が展開され、終盤の「Before Time Began」では静かな導入から壮大なハードロックへと発展していく。
全体として、70年代の黄金期をそのまま再現するのではなく、長いキャリアを重ねたメンバーが自分たちの音楽を現代的に更新しようとした作品といえる。
制作背景
本作のレコーディングは2005年、アメリカ・ロサンゼルスのChunky Style Studiosで行われた。前作『Bananas』に続き、マイケル・ブラッドフォードがプロデュースとエンジニアリングを担当している。
制作期間は約5週間とされ、バンドの演奏を活かした、比較的ストレートなレコーディングとなった。
当時のディープ・パープルは、1994年にスティーヴ・モーズが加入して以降、ブラックモア時代とは異なる新しいサウンドを確立しつつあった。さらに2002年には、長年バンドの音楽的な柱だったジョン・ロードが引退し、ドン・エイリーが加入。前作『Bananas』で新体制の方向性を示し、本作ではその編成による音楽的なまとまりがさらに深まっている。
レーベル面でも転機を迎えた作品だ。欧州ではEdel Records、米国ではEagle Recordsからリリースされ、長年所属したEMIを離れてからの最初のアルバムとなった。
収録曲
※以下は欧州盤・米国盤の基本的な11曲構成。
- Money Talks
- Girls Like That
- Wrong Man
- Rapture of the Deep
- Clearly Quite Absurd
- Don’t Let Go
- Back to Back
- Kiss Tomorrow Goodbye
- MTV
- Junkyard Blues
- Before Time Began
全曲の作曲クレジットは、Don Airey、Ian Gillan、Roger Glover、Steve Morse、Ian Paice。
※日本盤は収録内容が一部異なり、「MTV」を収録せず、「Things I Never Said」をボーナス・トラックとして収録している。また、欧州盤・米国盤と曲順にも違いがある。
参加ミュージシャン
Deep Purple
- Ian Gillan(イアン・ギラン) – Vocals
- Steve Morse(スティーヴ・モーズ) – Guitar
- Roger Glover(ロジャー・グローヴァー) – Bass
- Ian Paice(イアン・ペイス) – Drums
- Don Airey(ドン・エイリー) – Keyboards
Production
- Michael Bradford(マイケル・ブラッドフォード) – Producer, Engineer
- Andy VanDette(アンディ・ヴァンデッテ) – Mastering
- Tom Swick(トム・スウィック) – Cover Art
- Ioannis(イオアニス) – Art Direction, Design
- Roger Glover(ロジャー・グローヴァー) – Art Direction, Design
作品情報
- アーティスト:Deep Purple
- アルバム:Rapture of the Deep
- リリース:2005年11月1日(米国)
- 欧州盤リリース:2005年10月21日(ドイツ)/10月24日(英国)
- 日本盤リリース:2005年12月16日
- レーベル:Edel Records(欧州)/Eagle Records(米国)/Victor(日本)
- プロデューサー:Michael Bradford
- 録音:Chunky Style Studios, Los Angeles, California
- マスタリング:Andy VanDette(Masterdisk, New York)
- スタジオ・アルバム:18作目
代表曲 Rapture of the Deep
アルバムのタイトル曲「Rapture of the Deep」は、本作の音楽的な方向性を象徴する一曲である。
印象的なのは、東洋的な雰囲気を漂わせる旋律と、ディープ・パープルらしい重厚なハードロックの融合だ。スティーヴ・モーズのギターとドン・エイリーのキーボードが互いの持ち味を活かしながら展開し、独特の浮遊感と緊張感を生み出している。
タイトルの「Rapture of the Deep」は、深海での潜水時に起こる窒素酔いを指す表現としても知られる。深海の世界を思わせるタイトルと、どこか異国的で幻想的なサウンドが結び付いた楽曲だ。
長年にわたってメンバー交代を経験しながらも、ディープ・パープルが新しい音楽を作り続けていた2000年代。その時期のバンドの充実ぶりを感じさせる一曲として、ぜひアルバムとあわせて聴いてほしい。



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