2011年11月1日リリース(米国)/2011年10月26日リリース(日本)
作品概要
『TH1RT3EN』は、アメリカのスラッシュ・メタル・バンド、メガデスが2011年に発表した13作目のスタジオ・アルバムである。
前作『Endgame』(2009年)から約2年ぶりとなる本作は、デイヴ・ムステイン(Dave Mustaine)、クリス・ブロデリック(Chris Broderick)、デイヴ・エレフソン(David Ellefson)、ショーン・ドローヴァー(Shawn Drover)というラインナップで制作された。
大きなトピックは、創設メンバーであり、ムステインの長年の盟友でもあるベーシスト、デイヴ・エレフソンの復帰だ。2002年のバンド離脱以来、約8年ぶりにメガデスへ戻ったエレフソンにとって、本作は復帰後初のスタジオ・アルバムとなった。
プロデュースはジョニー・K(Johnny K)とデイヴ・ムステインが担当。鋭いギター・リフと複雑な展開を持つスラッシュ・メタルを軸に、メロディアスな楽曲やミドルテンポのナンバーも収録している。
タイトルの「TH1RT3EN」は、通算13作目のアルバムであることに加え、ムステインが9月13日生まれであること、13歳でギターを手にしたことなど、彼自身にとって縁の深い数字「13」に由来する。
サウンドと音楽的特徴
本作のサウンドは、前作『Endgame』のテクニカルで攻撃的なスラッシュ・メタルを引き継ぎながら、メガデスの歴史を振り返るような懐かしさも感じさせる仕上がりとなっている。
オープニングの「Sudden Death」は、複雑なギター・リフと高速のリズムが畳みかけるテクニカルなナンバー。クリス・ブロデリックの流麗なギター・ソロと、ムステインの鋭いギター・ワークがぶつかり合い、アルバムの幕開けにふさわしい緊張感を生み出している。
「Public Enemy No. 1」は、印象的なリフとキャッチーなメロディーを備えた楽曲。スピードだけに頼らず、強烈なフックを持ったメガデスらしいヘヴィ・メタル・ナンバーだ。
「Never Dead」は、軍隊の行進を思わせるドラムのイントロから一気に疾走する展開が印象的。「We the People」では政治や権力への批判を盛り込み、ムステインらしい社会的な視点も表れている。
一方、「Black Swan」や「Millennium of the Blind」では、重厚なリフとメロディアスな展開を組み合わせ、アルバムに変化を与えている。
全体として、複雑なリフやテクニカルな演奏を聴かせながらも、楽曲そのものの分かりやすさやメロディーを大切にしている点が特徴だ。80年代から続くメガデスの攻撃性と、90年代の作品を思わせるメロディアスな側面が共存している。
制作背景と収録曲にまつわるエピソード
本作の制作では、新たに書き下ろされた楽曲だけでなく、過去に制作されながら正式なアルバム収録に至っていなかった曲も取り上げられた。
その代表例が「New World Order」「Black Swan」「Millennium of the Blind」の3曲だ。
「New World Order」は1990年代初頭に制作された楽曲で、2004年発売の『Youthanasia』リマスター盤にデモ・バージョンが収録されていた。「Black Swan」は『Youthanasia』の制作時期に書かれた曲で、後に『United Abominations』などのボーナス・トラックとして発表されたことがある。「Millennium of the Blind」も同じく1990年代初頭に原型が作られ、過去のリマスター盤にデモ音源が収録されていた。
これらの楽曲を新たに仕上げ、現行メンバーによる演奏でアルバムに収録したことは、本作の大きな特徴といえる。
また、「Sudden Death」は、ゲーム『Guitar Hero: Warriors of Rock』のために制作された楽曲。ゲームを通じて先行して知られることになったが、本作ではアルバムのオープニングを飾っている。
こうした新旧の楽曲を組み合わせた構成は、単なる新作というだけでなく、ムステインが長年温めてきたアイデアを一つの作品にまとめた内容ともいえる。
収録曲
※以下は米国盤の基本となる13曲構成。
- Sudden Death
- Public Enemy No. 1
- Whose Life (Is It Anyways?)
- We the People
- Guns, Drugs & Money
- Never Dead
- New World Order
- Fast Lane
- Black Swan
- Wrecker
- Millennium of the Blind
- Deadly Nightshade
- 13
※日本盤にはボーナス・トラックとして「Public Enemy No. 1 (Live)」を追加収録。
参加ミュージシャン
Megadeth
- Dave Mustaine(デイヴ・ムステイン) – Vocals, Guitar
- David Ellefson(デイヴ・エレフソン) – Bass, Backing Vocals
- Chris Broderick(クリス・ブロデリック) – Guitar, Backing Vocals
- Shawn Drover(ショーン・ドローヴァー) – Drums, Backing Vocals
Production
- Dave Mustaine(デイヴ・ムステイン) – Producer
- Johnny K(ジョニー・K/John Karkazis) – Producer, Engineer, Mixing
- Andy Sneap(アンディ・スニープ) – Additional Engineering
- Ted Jensen(テッド・ジェンセン) – Mastering
- John Lorenzi(ジョン・ロレンツィ) – Artwork
作品情報
- アーティスト:Megadeth
- アルバム:TH1RT3EN
- リリース:2011年11月1日(米国)
- 日本盤リリース:2011年10月26日
- レーベル:Roadrunner Records
- 日本盤レーベル:Roadrunner Records/Warner Music Japan
- 日本盤品番:WPCR-14211
- プロデューサー:Dave Mustaine、Johnny K
- 録音スタジオ:Vic’s Garage(San Marcos, California)
- ミキシング:Johnny K
- マスタリング:Ted Jensen
- 収録曲数:13曲(日本盤はボーナス・トラックを含む14曲)
- スタジオ・アルバム:13作目
代表曲 Public Enemy No. 1
「Public Enemy No. 1」は、本作を代表する楽曲の一つであり、メガデスの持つ攻撃性とキャッチーなメロディーが見事に融合したナンバーだ。
切れ味の鋭いギター・リフを軸に、ムステインの特徴的なヴォーカルが展開。複雑な演奏を盛り込みながらも、サビでは覚えやすいメロディーを聴かせる。
歌詞は、逃亡を続ける犯罪者を主人公にした物語。追跡する当局を振り切りながら、自らを「Public Enemy No. 1(最重要指名手配犯)」と称する人物の姿が描かれている。
ミュージック・ビデオも制作され、バンドの演奏シーンと楽曲の世界観を組み合わせた映像作品として公開された。
テクニカルな演奏だけでなく、楽曲としての強さや印象的なフックも備えたこの曲は、2010年代のメガデスを知るうえで欠かせない一曲である。



コメント